あなたが何気なく開いたWEBサイト。その瞬間、何もしていないのに、あなたのパソコンはすでに危険な状態におかれているかもしれません。これが「ドライブバイダウンロード攻撃」と呼ばれる手法で、ネットユーザーの警戒心をかいくぐる脅威として話題になっています。今回は、その脅威と実際の事例、対策法をわかりやすく解説します。もしかしたら、あなたも今日、危ないWEBサイトを開いているかも…?
ドライブバイダウンロード攻撃とは?
ドライブバイダウンロード攻撃とは、WEBサイトを開いたりリンクをクリックした時点で、悪意のあるスクリプトやマルウェアが自動的にダウンロードされ、実行されてしまう攻撃のことです。しかも、特別な操作は一切不要。ただ「WEBサイトを開く」だけ。これにより、マルウェアが裏で情報を抜き取りはじめることもあるのです。
常に新しい脅威に晒されるネットの世界では、ブラウザやプラグインの脆弱性が利用され、いつのまにか悪意のあるコードが実行されてしまうのです。「開くだけで危険」という意味はここにあり、ユーザー側の警戒心の穴をついています。
実際の攻撃事例
一つ実際の事例として、過去にAdobe Flash Playerの脆弱性「CVE-2018-4878」を悪用した攻撃がありました。この脆弱性は、フラッシュのコンテンツスクリプトが悪意のあるWEBサイトで実行されることで、マルウェアをダウンロードし、ユーザーのパソコンを乗っ取るものでした。
WEBサイトを開く: ユーザーが悪意のあるサイトや広告を表示するサイトを開きます。
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脆弱性を利用: サイト内に埋め込まれたスクリプトが、ブラウザやプラグインの脆弱性を突いて、悪意のあるコードを実行します。
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マルウェアをダウンロード: スクリプトが裏でマルウェアをダウンロードし、インストールします。
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バックドアの設置: 攻撃者がシステムへのリモートアクセスを可能にし、情報窃取や遠隔操作を行います。バックドアの脅威について
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このように、ユーザーが知らない間に攻撃が完了し、情報窃取および悪意のある活動に使われてしまうのです。
どのような脆弱性が狙われるのか?
ドライブバイダウンロード攻撃では、主に以下のような脆弱性が狙われます。
ブラウザの脆弱性
ブラウザ自体にバグやセキュリティホールが存在する場合、攻撃者はこれを利用して悪意のあるコードを実行します。
プラグインの脆弱性
Adobe Flash、Java、Silverlightなど、追加機能を提供するプラグインはしばしば攻撃の対象になります。特にサポートが終了した古いバージョンは危険です。
OSやソフトウェアの脆弱性
WindowsやMacOS、その他のアプリケーションの脆弱性も標的となります。
第三者ライブラリ
WEBサイトで使われる外部ライブラリ(JavaScriptフレームワークなど)に脆弱性がある場合、攻撃者はそこから侵入します。
こうした脆弱性は、定期的なアップデートで修正されることが多いですが、アップデートを怠ることで攻撃のリスクが高まります。
ドライブバイダウンロード攻撃の対策
では、こうした脅威にどのように対抗すればよいのでしょうか? 以下の対策を実践することで、被害を大幅に減らすことが可能です。
ソフトウェアやOSを最新の状態に保つ
ブラウザ、OS、プラグインを常に最新バージョンに更新しましょう。特に脆弱性のパッチ(修正プログラム)はすぐに適用することが重要です。
信頼できないサイトにアクセスしない
不審な広告やリンクをクリックしないように心がけましょう。また、公式サイト以外からのソフトウェアのダウンロードも避けましょう。
セキュリティソフトを導入する
セキュリティソフトをインストールし、リアルタイムスキャン機能を有効にしましょう。ドライブバイダウンロード攻撃を未然に防ぐことができます。
不要なプラグインは無効化する
使用しないプラグインや拡張機能はアンインストールまたは無効化しましょう。特にFlash PlayerやJavaは狙われやすいため注意が必要です。
WEBサイトのスクリプトを制限する
ブラウザの設定でJavaScriptの実行を制限する、またはNoScriptなどの拡張機能を利用してスクリプトの動作を管理しましょう。
まとめ
「ドライブバイダウンロード攻撃」は、WEBサイトを開いただけで感染するという非常に恐ろしい攻撃手法です。ブラウザやプラグインの脆弱性を狙い、ユーザーの気付かないうちにマルウェアがダウンロードされ、情報窃取や遠隔操作といった被害が発生します。
しかし、定期的なソフトウェアのアップデートやセキュリティソフトの導入、信頼できないサイトへのアクセスを避けることで、こうした脅威を大幅に減らすことが可能です。インターネットを安全に使うためには、常に「開くとヤバいWEBサイト」の存在を意識し、自己防衛することが何よりも大切です。
今すぐ、あなたのパソコンやスマホのセキュリティ対策を見直してみましょう。