
新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、WEB、SNS、ポッドキャスト、ビデオストリーミングなどなど。主に媒体の種類はデジタルメディアとオールドメディアに分かれますが、私たちの周りは情報媒体で溢れています。ですので、情報を目にしない日なんてほとんどありません。
まるで情報のジャングルにいるかのようです。さて、オールドメディアにも多くの突っ込みどころがありますが、今回はSNSに焦点を絞って、記事を進めていきたいと思います。
このジャングルには、甘くておいしい果実(信頼できる情報)もあれば、腐った実(フェイクニュースや偏った意見)もゴロゴロと転がっています。そして、このジャングルを駆け回る猿たち――つまり、無思考に情報を鵜呑みにして拡散する人々――が、しばしば炎上の火種を大きくしています。
今回は、この猿たちを特別な名前で呼びましょう。それが『フライングモンキー』。この言葉は、心理学の世界でナルシスト(自己愛が強すぎる人)に操られて動く人々を指しますが、SNS上の炎上にもピッタリ当てはまるのです。
腐った実に飛びつくフライングモンキー
SNSでは、日々膨大な情報が飛び交っています。例えば、ある有名人が「不適切な発言をした」との噂が流れたとしましょう。すると特定の人たちは、その真偽を確かめることなく、次々と情報を拡散し、批判の声を上げます。
ここで問題なのは、腐った実――つまり嘘や誇張された情報――に飛びつくだけでなく、味を確かめることもせずに「みんな、これは美味しいぞ!」と勧める、そんな思考を放棄した人たち。
美味しそうに見える実を見つけて手を伸ばしたり、ひと齧りしてしまうのは本能的なもので、もはや仕方がないでしょう。誰だってスキャンダラスで面白そうな話に関心があるわけです。
ですがあきらかに、味に違和感があるのに、これも珍味といわんばかりに「美味い!」と吹聴する人たち。
なぜ、そうなってしまうのか? それにはいくつかの理由がありますが、フライングモンキーの場合だと「2」が該当します。
- 「群れ」あるいは「リーダー」に従う安心感
大昔、「群れ」から追い出されたり「リーダー」に嫌われることは、とても危険なことでした。その本能は今でも少なからず残っています。その結果、SNSでも「権力者、有名人、あるいは大多数が言っているから正しい」と思考を放棄し、同調してしまうのです。 - ナルシストによる操作
ナルシストは人を操ることに長けています。たとえば、情報を発信した人、その発信を支持した人がナルシスト的な性質を持っている場合、ネガティブな感情を煽り立て、他者を操作しようとします。そして厄介なことに、そのナルシストの取り巻きであるフライングモンキーたちは、ナルシストに対する依存心、忠誠心、ナルシスト側に立ちたい、などの気持ちがとても強い。その結果、情報を信じ込み、行動することが多々あります。 - ストレス発散の場として
SNSでの批判や攻撃は、現実でのストレスや不満を発散する手段になりがちです。ターゲットを批判することで、自分の不満を一時的に忘れたり、優越に浸ることができるというわけです。
そのターゲットが事実無根だったり、叩かれるに値しない内容だったら酷い話ですよね。ただ、個人的に一番最悪だと思うのが、腐った実なのに細工を施して、あたかも美味しそうに見せる人たちです。
とはいえ、これまでの内容を踏まえて、どうでしょう?誰もが猿になってしまう可能性があるように思えませんか?
頭を使うこと
猿にならないためにも、以下を心掛けましょう。
- 木の実(情報)の匂いを嗅ぐ
情報を見たら、まずその出所を確認しましょう。その果実が腐っているかどうかを嗅ぎ分けることが大切です。- その情報は誰が発信しているのか?
- 根拠や証拠はあるのか?
- 背景には何があるのか?
- 動機は?
- 本当に伝えたいことは?
- 一歩引いて考える
ジャングルで立ち止まり、「そもそもこのジャングルは大丈夫か」と考えてみましょう。「人が集まっているから」その程度の理由で、そこに行く必要はありません。 - 他の猿たちに惑わされない勇気
「この木の実は問題ない」と思ったら、堂々とその意見を持つことです。群れから外れるのは怖いかもしれませんが、それが本当の勇気です。
旅人として
人生の旅人である私たちは毎日、SNSという情報のジャングルを何度も何度も通過することになります。いや、SNSだけではありません。新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどのオールドメディアだってそうでしょう。そしてそのジャングルには、甘い果実もあれば、腐った実もあるわけです。ゆえに、腐った実に飛びつき、フライングモンキーへと堕ちてしまう危険性もあるわけで。
ですが、どんな旅人だって冷静になれば、立ち止まって木の実を見極め、自分の目で確かめることができます。そもそも、一度きりの旅。目的地はジャングルではありません。そんなジャングルで蠢く魑魅魍魎に翻弄され、操られ、騙され、気が付けばそこでダラダラと暮らしてました、って悲しいじゃないですか。だって…それってもう、旅じゃないでしょ?