EPAとは
エイコサペンタエン酸(EPA)とは多価不飽和脂肪酸に分類されるオメガ3脂肪酸の一種で他にもαリノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)があります。
EPAを多く含む食品
順位 | 食品名 | 成分量 100gあたりmg |
---|---|---|
1 | (動物脂類) たらのあぶら | 13000 |
2 | 肉類/くじら/本皮、生 | 4300 |
3 | 魚介類/あんこう/きも、生 | 3000 |
4 | 魚介類/やつめうなぎ/干しやつめ | 2200 |
4 | 肉類/くじら/うねす、生 | 2200 |
6 | 魚介類/(さけ・ます類)/しろさけ/すじこ | 2100 |
7 | 魚介類/あゆ/養殖、内臓、焼き | 1800 |
7 | 魚介類/(さば類)/たいせいようさば/生 | 1800 |
7 | 魚介類/(いわし類)/缶詰/かば焼 | 1800 |
10 | 魚介類/(まぐろ類)/みなみまぐろ/脂身、生 | 1600 |
10 | 魚介類/(さば類)/たいせいようさば/水煮 | 1600 |
10 | 魚介類/あゆ/養殖、内臓、生 | 1600 |
10 | 魚介類/(さけ・ます類)/しろさけ/イクラ | 1600 |
※このデータベースは、文部科学省が開発したものであり、試験的に公開しているものです。
EPAの主な働き
1.血小板に作用。血栓に関係
2.血液の流れについてはDHAより効果があるとされる
3.血中の中性脂肪に関係
4.DHAと同時摂取で相乗効果が期待される
5.医薬品としても利用される
EPAと心血管疾患
EPAと「動脈硬化」に関連した多くの論文が発表されてます。
一般に動脈硬化といえば「アテローム性動脈硬化」を指すことが多く脳卒中や心筋梗塞など重大疾患になる要因の一つ。
血液中の老廃物(余分なコレステロールや中性脂肪)が血管壁に蓄積するとこを「アテロームの蓄積」と呼び、その蓄積により発生した血管内部の盛り上がり「プラーク」によって血管内部が狭くなった状態がすなわちアテローム性動脈硬化症です。
アテローム性動脈硬化症で危険なのはプラークが破裂すると血栓が形成され、それにより血流が遮断され心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管疾患を引き起こすことです。
EPAは老廃物である中性脂肪(トリグリセリド)の分解を促進し血液中の脂質を低下させ、またプラークの外側(線維性被膜)を厚くし滑らかに破裂しにくくさせる作用があるようです。
エイコサペンタエン酸(EPA)は、膜リン脂質とアテローム性動脈硬化症のプラークに組み込まれ、〈中略〉プラーク形成/進行、血小板凝集、血栓形成、およびプラーク破裂に関連する特定の有益な作用が報告されています。 EPAはまた、低密度リポタンパク質コレステロールを上昇させることなく、トリグリセリドの減少を特徴とするアテローム性脂質異常症を改善します
【アテローム性動脈硬化症】脂肪性沈着物(プラーク)により動脈内が細くなる疾患
【低密度リポタンパク質コレステロール】俗に言う「悪玉コレステロール」
【トリグリセリド】中性脂肪
Kenneth M Borow 1, John R Nelson 2, R Preston Mason 3
『Biologic plausibility, cellular effects, and molecular mechanisms of eicosapentaenoic acid (EPA) in atherosclerosis』
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26253795/
↓ 心不全などの心臓病に対するEPAの有効な作用について
EPAを介した線維症の予防は、HFpEFの新しい治療法となる可能性があります。培養心臓線維芽細胞におけるトランスフォーミング成長因子β1線維性シグナル伝達を遮断するのに十分であり、必要であり、EPAの新しいメカニズムを示唆している。
【線維症】心臓の線維化。コラーゲン線維の蓄積に伴う心臓の硬化
【トランスフォーミング成長因子β1】増殖因子
【HFpEF】拡張不全。左室拡張機能障害に起因する心不全
Julie A. Eclov,1,* Qingwen Qian,2,§ Rebecca Redetzke,† Quanhai Chen,3,§ Steven C. Wu,* Chastity L. Healy,* Steven B. Ortmeier,§ Erin Harmon,1,§ Gregory C. Shearer,4,† and Timothy D. O’Connell4,*
『EPA, not DHA, prevents fibrosis in pressure overload-induced heart failure: potential role of free fatty acid receptor 4』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4655986/
アメリカ心臓協会が提供する食事ガイドラインでは、さまざまな魚(できればサーモン、ニシン、サバなどの油性魚)を少なくとも週に2回摂取することを推奨しています。〈中略〉特にEPAとDHAが高い種は、冠状動脈死と総死亡のリスクの低下と関連しています。
Azin Mohebi-Nejad1 and Behnood Bikdelicorresponding author2
『Omega-3 Supplements and Cardiovascular Diseases』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4153275/
EPAを利用した薬
血液に対する作用が認められEPA製剤はサプリメントだけでなく、血液中のトリグリセリド(中性脂肪)などを改善する医薬品として販売されています。高脂血症や閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍に効果があるとのこと。ただ、血行が良くなるためかアスピリンやワルファリンなどの抗血栓薬との併用は注意が必要とされています。※製品によっては出血しやすくなるため
EPAは、トリグリセリドレベルを下げるための処方薬として使用されます。サプリメントとして、EPAは心臓病に最も一般的に使用されている。
WebMD
『EICOSAPENTAENOIC ACID (EPA)』
https://www.webmd.com/vitamins/ai/ingredientmono-994/eicosapentaenoic-acid-epa
EPAとストレス
ラットにおける14日間の行動試験でEPA強化食を与えられたラットは、DHA強化食を与えられたラットよりも不安様行動が少ないことが明らかになりました。 EPA強化食を給餌することによる脳リン脂質画分のEPA含有量の増加は、DHA強化食を給餌するより有意でした。 これらの結果は、社会的隔離ストレスにさらされたラットでは、EPAがDHAよりも抗不安薬であり、脳膜のEPA含有量を増加させるのに有効であることを示唆しています。
Yasuyo Oshima 1, Tasuku Watanabe 1, Shun Endo 1, Shuichi Hata 2, Tsuyoshi Watanabe 2, Kyoichi Osada 1, Asako Takenaka
「Effects of Eicosapentaenoic Acid and Docosahexaenoic Acid on Anxiety-Like Behavior in Socially Isolated Rats」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29191085
EPAとDHA
「血液のEPA」に「脳のDHA」といったところでしょうか・・。
このページではEPAに特化した情報を記載しましたが、EPAとDHAはどちらも重要です。青魚を食べればEPAとDHAの両方を摂取できますし、サプリメントにしてもオメガ3脂肪酸関連の製品を購入すればEPAとDHAの両方を摂取することがきます。