邪悪どころではない危険な性質『サディスティックパーソナリティ障害(SPD)』とは。サディストの種類やその危険性について

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邪悪どころではない危険な性質『サディスティックパーソナリティ障害(SPD)』とは。サディストの種類やその危険性について
提供:photoAC「さるですが。様」

「他人の不幸は蜜の味」という言葉があります。

しかし本当に不幸な人を前に、とてもそんな気持ちになんてなれません。悲しくなり、いたたまれない気持ちになります。もちろん、多くの方がそう感じることでしょう。

でも例えば自分が不幸で心病んでいるそんな時。自分よりも不幸な他人をみては「あぁ、私だけじゃないんだな」とホッとしたり、「私はまだ良い方だ」とポジティブになったり。そのぐらいだったら恥ずかしながら私にも思うところがあります。

ですが今回ご紹介するのは、そんな次元の話ではありません。

深刻な不幸を鑑賞しては喜び、しかもそれに飽き足らず他人に苦しめたり、恐怖による支配で快楽を貪る人たちが存在します。

サディスト

サディズムを抱えた人「サディスト」とは
提供:photoAC「マイペイ様」

サディスティックパーソナリティ障害(SPD)を有する人とはサディズムを有する人。つまり他人の不幸【不快・苦痛・苦悩・絶望など】を単に鑑賞するだけでなく、対象を陥れ、苦しめてでも快楽を得ようとする人のこと。すなわち真性のサディスト。

ただ、新しいDSM(アメリカ精神医学会による精神疾患の診断基準)にサディスティックパーソナリティ障害は含まれていません。ですので今となっては有効な診断カテゴリではなく、SPDの原因は依然として解明されていませんが、研究は現在も続けられています。

邪悪で危険なパーソナリティの集合体

サディストと危険なパーソナリティの集合体
提供:photoAC「ぺるみけさん様」

SPDはASPD(反社会性パーソナリティ障害)やNPD(自己愛性パーソナリティ障害)など、他のパーソナリティ障害と高確率で並存する場合があるようです。

それはつまり、どういうことかと言うとサイコパス(ASPD)の冷淡さとサディストの「獰猛さ」を兼ね備えている者がいたり、あるいはナルシスト(NPD)のように自尊心が高く(実は脆弱)、自己陶酔的な性質とサディストの「残虐性」を持つ者が存在するということ。

実際、テオドール・ミロンによるとサディストを4つのサブタイプに識別しています。

・激発型サディスト
屈辱や不満、絶望、憤怒により突発的な暴力的行為を振るうタイプ。激発型サディストは常に不機嫌かつ好戦的であるため、事前に察知することは不可能とされている。

・暴君型サディスト
4つのタイプの中で最も残酷なタイプ。激発型サディストのように、突発的かつ感情的に鬱憤を解放するタイプではなく、残忍な振る舞いでターゲットを戦慄させ支配することに快楽を覚えるタイプ。情緒不安定で脆い自尊心を内に秘め、相手を屈服させることで優越と快楽に浸ろうとする。

・強要型サディスト
このタイプのサディストは権威的な職に就く者に多くみられる。非常に厄介なタイプで、その社会における合法的な権威や理念、合理性、ルールを後ろ盾にしてターゲットを厳しく罰したり、各種ハラスメントを行う。そのため多くの場合、その行為は見過ごされ、結果として裁かれることもあまりない。

・惰弱型サディスト
他とは異なるタイプのサディスト。惰弱型サディストは非情に臆病である。そのためパニックに陥りやすく、危険を察知すると正当な理由もなく、自分の先入観や思い込み、妄想などで先制攻撃や敵対的行為、アジテーションを仕掛けてくる。つまり平和的解決の前にスケープゴート(生贄)をつくりだし、それを攻撃することでターゲットや周囲に対して強者を演じ、印象づけをおこなう。そうすることで臆病な性質を覆い隠し、自尊心を高め、保身を図ろうとする。

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サディストと悪質な社会問題

サディストと悪質な社会問題
提供:photoAC「YosD様」

先述の通り、いつ犯罪を犯しても不思議ではない、そんな性質を有しているわけですが、とはいえ日本という国で、サディストが大手を振って歩くことは困難であり、そんな本能を剥き出しにすれば刑務所に収監されるだけ。そのため、サディストはグレーゾーンなやり方で日々の欲求を満たそうするわけです。

例えば家庭内では配偶者や子供の行動を厳しく制限したり、不満が募ればそれを口実に暴力という名の欲望を吐き出し、学校や職場ではターゲットを嬉々として執拗にいたぶり、もしくは悪質な罰をあたえては悦に浸る。いわゆるDVやパワハラ、体罰、虐待、いじめなどはまさにその典型。

ニュースなどで見聞きしたり、遭遇したことがある、もしくは不幸にも身近にいたり…。そのような方もいらっしゃると思います。

注目すべきは目的の過程で結果的にそのような行為をとっているのではなく、その行為自体が目的であるということ。つまり、ターゲットの身体や心を攻撃することで、恐怖心を抱かせたり、羞恥や苦痛で歪む顔を鑑賞し、快楽を得ることが目的なのです。

また、そのような行為に性的な興奮を覚えるサディストも存在します。

そのサディストが有するサディズムを『性的サディズム』と呼び、自身の生活に支障をきたすレベルのサディズムを抱え、その衝動で相手を死亡させることもあるようです。実際、性的な動機による殺人犯の37~75%は性的サディストが占めているとのこと1)。※性的サディズム障害はSPDとは異なり、DSM-5にも引き継がれています

もはや邪悪どころではなく危険なパーソナリティーであり、その猟奇性は世が世なら、おそらくハラスメントでは済まないことでしょう。

三つ子の魂百まで

幼少期に植え付けられたサディズム
提供:photoAC「acworks様」

SPDを形成する要因の一つとして、SPDに近いパーソナリティーを有する家族または近親者の影響が強いとされており、遺伝子的要因については確証が得られていないようです2)。

つまり、幼少期の劣悪な家庭環境がSPDの温床になるということ。多くの場合それはサディズムを抱える両親のことであり、言うまでもなくそのような暴君を前に子は為す術もないわけで。

心ない言葉、理不尽な暴力で怒りが蓄積される毎日。

そのような怒りを内に秘めたまま、価値観や共感力が育まれることなく、社会へと放り出されたら当然、弾かれるわけです。それによって生じる更なる怒りや憎しみ。

結果的にそれらの解放を熱望する日々。向けられる矛先は多くの場合、他の誰か。

「あいつをグチャグチャにしたら気持ち良いだろうな」

「あいつが苦しみ、悶えるところを見てみたい」

人を苦しめて喜ぶという、その歪んだ心は多くの場合、矯正されることはなくむしろ悪化し、そこへ悪質な経験が加わることで更に拍車がかかり、その心を異形へと変化させていくわけです。

親から子へ、そしてそのまた子へと。

受け継がれるサディズム。この負の連鎖を断ち切るために社会はどうあるべきなのでしょう。


 

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参考文献

フリー百科事典『ウィキペディア』
https://ja.wikipedia.org/

1)
MSDマニュアルプロフェッショナル版『性的サディズム障害』
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB

2)
Prevalence and characteristics of sadistic personality disorder in an outpatient veterans population